世界一詳しくわかりやすく!【政治経済】アメリカの政治体制

 この記事では高校公民科「政治・経済」の内容を説明しています。なおこれまで公開していたノートは作成に時間がかかり、ブログの更新が滞ってしまいますので、後日作成し配信いたします。必要な図はその都度提示したりしますので、ご安心ください。

 今回はアメリカの政治体制について解説していきます。通常の場合はイギリスを先に解説する場合がほとんどですが、今回はあえてアメリカの政治体制を先に扱っていきます。ではまず以下の図を確認しながら進めていきましょう(なおこの画像はWikipediaからの引用です)。

アメリカの政治体制(Wikipedia 同名記事より引用)

 アメリカでは三権分立が忠実に受け継がれています。なんだどこの国も同じじゃねえかよ、という話になると思いますが、それが違うんですね。次回扱いますがイギリスや日本では実はそうではないよ、という話です。これが大きな特徴の一つです。次に憲法について扱います。憲法アメリカ合衆国憲法で、1788年に発効されました。アメリカの州レベルの憲法は例外がありますが、世界で最古の成文憲法です。前の講で扱いましたが、不文憲法もあります。文として存在しなくてもいい存在だったと復習しておきましょう。なお硬性憲法です。

 大統領とは行政府の最高責任者にして軍の最高司令官です。ここは日本やイギリスと同じですね。しかしこの国は日本やイギリスと違う部分があります。大統領は国民の間接選挙で選ばれます。加えて強大な権力も与えられているわけです。ではそんな大統領について詳しく解説していきます。まず大統領は任期が4年間で3選がきんしされています。これは同じ人が長い間権力を握っていると、腐敗してしまうためこれを防ぐためになっています。

 ところで大統領選挙とはどのように実施されるのでしょうか。国民から選出しているわけですが、直接選出しているわけではなく、あくまで間接選挙であることに注目しておきましょう。間接選挙と言えども誰かを選んでいるわけです。誰を選んでいるかというと、「大統領選挙人」を選びます。大統領選挙人にはそれなりに有名な人を用意することがほとんどのようです。いわば議員を選ぶのと同じような感覚なのでしょう。

 大統領選挙人の選出は各州で行われますが、そこで注目しておきたい選び方があります。「勝者総取り方式」です。各州で複数の大統領選挙人を選出するのですが、このときその州全体で過半数をとった党がその州の大統領選挙人の枠すべてをとっていく方法です。非常にわかりにくい方式ですから、具体例で説明します。

 


例)ある州ではA党の候補者とB党の候補者が出馬している。得票率がA党が60%、B党が40%であったとする。また大統領選挙人の人数は10人である。

このとき通常の方式ではA党に6人、B党に4人割り振られるが、勝者総取り方式の場合は、A党にすべての枠、つまり10人が割り当てられる。

 以上具体例を紹介してきました。大統領選挙は度々メディアでも放送されますから、どのような方式なのかを一般教養として押さえておきましょう。次に大統領の権力について紹介します。

 大統領とはズバリ「行政府の代表」ですからまず法律の執行という大きな仕事があります。これはどこの国も変わりませんね。次に議会と大統領のヒエラルキーについて紹介しましょう。大統領は議会に対して「法案提出権」と「解散権」がありません。日本では度々衆議院が解散しますがそれをやっているのは内閣総理大臣ですね。しかしアメリカは行政府と立法府の独立性が強いためありません。

 そのかわり大統領は次のことが可能です。法案を拒否することができます。しかし上院と下院それぞれで3分の2の決があった場合は強制的に成立となります。そして教書の送付が可能です。これはいわば大統領の意見書ですね。加えて大統領令があります。これは議会の承認なしに行政や軍を動かすことが可能になる命令でした。しかし大統領令は、最高裁判所違憲判決を出せば無効になります。ドナルド・トランプ前大統領がたびたび出していたものです。結果としてアメリカとメキシコの間に国境の壁が建設されることになりました。満点を目指すわけでない限り大統領令は軽く流すくらいでOKです。

 ここまで大統領の職務を学習してきました。ここからは議会に目を向けていきます。議会は上院と下院で構成されています。日本でいう衆議院参議院みたいな感覚です。上院が各州の代表的な性質を持ちます。そんな上院は任期が6年で3分の1ずつ2年ごとに改選されます。つまり2年に1回選挙が行われるというわけです。定数は100名で上院の方が少ない構成になっています。上院は高級官吏(つまり各省長官など)の任命と条約締結の大統領に対する同意権があります。これはやはり連邦国家として、州の代表的側面の強い方に与えられているという背景があります。

 次に下院を確認しましょう。下院は各州の人口比率に応じて枠が与えられます。こちらは国民の代表者という側面が強いため、予算の先議権(先に議決する)が与えられています。

 このような議会における政党を確認します。「大きな政府」を目指し、黒人や労働組合からの支持を集める「民主党」と、「小さな政府」を目指して白人や有産階級からの支持を集める「共和党」の2つによる二大政党制が繰り広げられます。

 ここまで議会の様子について学習してきました。最後は司法権について確認して終わりです。連邦的には連邦最高裁判所最高裁判所です。ここの裁判官は終身制です。また憲法上の規定はありませんが、違憲審査権があります。これにより法の抑制と均衡が働くわけですね。以上でアメリカの政治体制は終わりです。次回はイギリスの政治体制について扱います。お楽しみに。