世界一詳しくわかりやすく!【政治経済】イギリスの政治体制

 この記事では高校公民科「政治・経済」の内容を説明しています。なおこれまで公開していたノートは作成に時間がかかり、ブログの更新が滞ってしまいますので、後日作成し配信いたします。必要な図はその都度提示したりしますので、ご安心ください。

 

今回はイギリスです。

 今回はイギリスの政治体制について扱っていきます。イギリスの政治体制は現代の民主主義において最もオーソドックスな政治体制になっています。暗記量も多いですが、ここで押さえておけば、日本の政治体制の理解が早いので頑張りましょう。

 では早速図を確認することから始めましょう。以下の図をご覧ください。

イギリスの政治体制

https://twitter.com/Kenichi_Tanabe1/status/691211226701910017)より引用


イギリスの憲法

 イギリスには憲法がない、と称されることもあります。これは日本の「日本国憲法」などのように文としてある(成文)ではないためです。しかし一応憲法もありまして(立憲主義とは言えなくなることからも読み取れますね)、それらを例示しておきたいと思います。まず「マグナ・カルタ」「権利章典」ですね。民主主義思想の部分で扱いました。これは現代イギリス政治の基礎的存在となっているわけです。次に「議会法」、一般の法律と一緒です。加えて、コモン・ロー(今までの判例の積み重ね)が憲法の代わりとなっています。それは何を意味するかというと、改憲がしやすい(軟性憲法)ということです。通常の法改正と同様の手続きにより改正できました。

 

イギリスの「国王」

 次に国家元首について確認していきます。国家元首は「国王」です。「首相」ではありません。その国王は、「イギリス国民の統合の象徴」とされていまして、つまり「君臨すれども統治せず」が慣習となっています。「慣習」と言うのは日本と違って、ロイヤルファミリーは選挙権などを放棄していると言うことです。選挙に行こうと思えば、いつでも一応選挙には行けると言うことになっていますが、あくまで「慣習」として実施しないと言うことなのです。なおおおむねこのような制度をしいている国を「立憲君主制」といいます。

 

議会

 議会は「最高の立法機関」とされています。日本と同じです。議会の構成はアメリカと同じ上院と下院により構成されます。しかしイギリスの場合は、上院はほとんど実権がありません。と言うのも上院は貴族や聖職者により構成され、選挙を経ない院になりますので年を追うごとに権力は縮小されています。下院は通常の選挙で選ばれる議員により構成されます。なおこのように下院が優越すると言う原則を「下院優位の原則」といい、1911年に議会法で確立されました。
 そんな議会は二大政党制で構成されてきました。「されてきました」と言うのも近年は多数政党制にもなってきた、つまり第3党・第4党が生まれてきているわけです。ただ現在も大きく分けると2つの政党に分けられますから、その2つの政党を確認していきます。まず「保守党」です。その名の通り保守系の政党で、有産階級に支持されています。もう一つが「労働党」ですね。その名の通り労働者に支持されている政党になります。近年ではどの党も過半数議席を取れないことが課題となっています。このような状態を「ハングパーラメント(宙ぶらりんの議会)」といいます。そのため連立政権を組む場合がほとんどです。(連立政権とは複数の政党が政策を申し合わせて政権を組むことを言います)

 

行政権と司法権

 行政権に目を向けてみましょう。行政権では内閣と議会が連立して責任を負う「議院内閣制」の国となっています。議院内閣制は18世紀のウォルポール内閣で開始したと言われています。詳しい説明は省くことにしますが、世界で最も古く議院内閣制を導入した国だと押さえておきましょう。議院内閣制は三権分立を忠実には受け継いでいないという見方をされます。と言うのも三権分立論はそれぞれの権力が独立しているべきだ、と言う考え方ですから、連立して責任を負う、とは言い難いわけです。しかし悪い点ばかりではなく、基本的に行政と立法の勢力は同じになりますから、政策実行がスムーズに進むなどのメリットもあります。

 最後に司法権について確認しておきます。司法権は元々上院が握っていましたが、現在は「最高裁判所」が設立され、厳格に立法権司法権の区分けがされたと言う見方がされています。

 

 以上イギリスの政治体制でした。次回はその他の国の政治体制を確認していきます。