世界一詳しくわかりやすく!【政治経済】憲法改正

  この記事では高校公民科「政治・経済」の内容を説明しています。なおこれまで公開していたノートは作成に時間がかかり、ブログの更新が滞ってしまいますので、後日作成し配信いたします。必要な図はその都度提示したりしますので、ご安心ください。

 

憲法改正

 今回は非常にタイムリーな話題を扱っていきます。そうです。憲法改正です。憲法改正は現在進行形で国会で話されたりニュースでもやっています。今回はその憲法改正の手続きの内容と、現在の議論の内容について学習していきます。では改正手続きの条文である憲法96条を読んでから説明しましょう。

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
② 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

改正の流れ

 憲法96条は最低限なので、これに加えてさまざまな法令が付け加えられています。まず憲法改正原案というものが国会に提出されます。これは憲法審査会という憲法改正を専門に審議する機関(衆参両院に設置される)が提出するか、議員が提案する場合は衆議院に100人、参議院に50人以上の賛成が必要です。これは議会法・国民投票法で規定されています。

 その後衆議院参議院で総議員の3分の2の賛成があれば「改正の発議」がされます。これは「国民の皆様、憲法改正しませんか」という質問を投げかけています。この後国民投票で投票され、賛成多数なら成立となります。

国民投票法

 2007年の第1次安倍内閣で成立した法律です。最初に取り上げた憲法96条では投票の方法を定義していませんでした。そこで、安倍内閣で将来に向けた憲法改正時の方法として「国民投票法」が作られたわけです。
 ここで規定されている内容について確認していきます。国会で「改正の発議」がされてから60日以後180日以内に行われるとしています。
 ここでよく注目されるのが、メディアの公平性です。例えばCMで毎日憲法改正しましょうと訴え続けていた時、改正にしようかな?と思いませんか。それと同じです。エンドレスに放送され続けた時にやはりどうしても考え直してしまうものです。
 次にこのようなことを考えてみましょう。ある憲法改正をしようとした時、改憲派は毎日10回CMを流していたとする。それに対して護憲派は毎日1回CMを流していたとする。この時公平さに揺らぎを感じませんか。CMを放映するにはそれなりのお金をかける必要性があります。そのため資本家が改憲派についたとしたら、護憲派は比較してあまり放送できなくなるわけです。つまり十二分に不公平さが生じる可能性が高いと言うことになるわけです。
 そこで国民投票法では国民投票の期日前14日間は有料のCMは禁止とされています。
 投票内容は憲法改正に限定され改正案ごとに賛否が問われます。また賛成反対のどちらかにまるをつける方法となっています。

憲法改正の限界

 憲法の改正について限界があると考えられています。つまり国民主権・平和主義・基本的人権の尊重を否定する内容は成立させることができないと言うことです。これは日本国憲法のそのものを否定することはできないと考えられているからです。

憲法最高法規

 憲法最高法規性として次の定義のように定義されます。憲法97条から99条です。

第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
② 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 となっておりこれで日本国憲法最高法規性が担保されているわけです。では最後にこの憲法の性質をよく表している次の文章を紹介して今日は終わりにします。文部省発行「あたらしい憲法のはなし」の最後の文章です。

 憲法は、國の最高法規ですから、この憲法できめられてあることにあわないものは、法律でも、命令でも、なんでも、いっさい規則としての力がありません。これも憲法がはっきりきめています。

 このように大事な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、國務大臣も、國会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。また、日本の國がほかの國ととりきめた約束(これを「條約」といいます)も、國と國とが交際してゆくについてできた規則(これを「國際法規」といいます)も、日本の國は、まごころから守ってゆくということを、憲法できめました。
 みなさん、あたらしい憲法は、日本國民がつくった、日本國民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の國がさかえるようにしてゆこうではありませんか。

文部省「あたらしい憲法のはなし」より引用